私は2人の子供を予定帝王切開で出産しました。
2回の帝王切開を経験して思うことは、
2回の帝王切開で、痛みの経過は全然違う!
ということでした。
出産する病院によって痛みのコントロールに使う薬が違ったり、術後の過ごし方が違ったり、身体的な変化があったりするためだと思います。
この記事では、2回の帝王切開について、
- 術後の過ごし方
- 痛みの経過
- 傷跡の経過
といった私の体験談を書いています。
- 1人目▶妊娠37週の検診で「逆子」&「臍の緒が赤ちゃんの下に来ているので破水すると危険」とわかり、急きょ38週で帝王切開にて出産しました。
- 2人目▶帝王切開既往のため、38週で帝王切開にて出産しました。
帝王切開による痛みの経過
帝王切開当日
1回目の帝王切開
痛み度:★☆☆☆☆
- スケジュール:帝王切開手術後はベッド上安静
- 食事:絶飲食
- 排泄:導尿カテーテル挿入
- 痛み止め:点滴
- 処置:術後は足にポンプ装着、出血多量のため止血・輸血
手術中はもちろん麻酔が効いているので、「切開されている痛み」は感じないのですが、ぐいぐいとおなかを引っ張られているような、不思議な痛みがありました。全然、耐えられる痛みではありますが、「あれ? 思っていたよりは痛いな」との印象を受けました。
手術が終わったとき、先生が麻酔が切れたあとの痛みについて説明を始めたので、
すでに痛い気がします。
と伝えると、さっそく背中からの痛み止めの点滴が開始になりました。
夜になり、いつのまにか痛み止めの点滴は中止されていたようなのですが、まったく気がつかなかったくらい痛みは感じませんでした(スタッフさんによると、「動かなければ痛くないよ」だそうです)。
帝王切開による傷口の痛みはありませんでしたが、この日は動くことができず寝たきりだったので、(ベッドが固かったこともあり)背中~おしりが圧迫されるような鈍い痛みはありました。
2回目の帝王切開
痛み度:★★☆☆☆
- スケジュール:帝王切開手術後はベッド上安静
- 食事:絶飲食
- 排泄:導尿カテーテル挿入
- 痛み止め:点滴・坐薬
- 処置:術後は着圧ソックス&血栓予防の注射
2回目に帝王切開を受けた病院は、しっかりと薬を使う傾向にありました。
手術前の麻酔の影響で血圧が下がったことで、もうすべてを放棄して「無理です!」と叫びだしたいくらい気分が悪くなり…(はじめは麻酔の影響ではなく「恐怖」によるものかと思いました)、吐き気を耐えながらなんとか深呼吸をしているうちに、手術開始。
もちろん痛みを感じることはなく、1回目のように引っ張られているような感じさえありませんでした。
無事に赤ちゃんが取り出され、顔を見たあとはしっかり休めるようにと、頭が朦朧となる点滴が開始されました。会話できるくらいの意識は保たれるとのことでしたが、私はあまりの眠気でぐったり(ただ、なぜか聴覚だけは冴えわたっていて、「ガーゼあった?」みたいな会話が聞こえていました)。
術後1時間くらい(聴覚は冴えたまま)眠り、目覚めると後陣痛を感じ始め、眠れなくなりました。そこで、痛み止めの坐薬を入れてもらいました。
帝王切開術後1日目
1回目の帝王切開
痛み度:★★★★★
- スケジュール:歩行・授乳開始
- 食事:おかゆ
- 排泄:導尿カテーテル挿入
- 痛み止め:点滴
- 処置:ガスを出すために「大建中湯」処方
前日に比べて痛みが増してきました。術後1日目が、痛み度Maxでした。
おまけに朝からさっそく歩行開始となったのですが、歩行を促す看護師さんが憎らしくなるくらい、激痛でした。
でも、ずっと寝たきりでいるよりも、早めに歩行したほうが、術後の回復がよくなると聞いて、病室でも点滴の支柱を杖のようにしながら、自主的に歩行訓練していました。
動いたり、くしゃみしたり、咳込んだりすると、帝王切開の傷口そのものが痛むのですが、じっとしているときは後陣痛なのか、重い生理痛のような、波のある痛みが続いていました。
ベッドから起き上がるために腹筋を使うと激痛なので、ベッドのリクライニング機能を使ってベッドから降りたり、授乳したりしました。
2回目の帝王切開
痛み度:★☆☆☆☆
- スケジュール:ベッド上安静(寝返りは許可)、赤ちゃんとは面会のみ
- 食事:1日4回の飲水開始
- 排泄:導尿カテーテル挿入
- 痛み止め:点滴
- 処置:なし
「たくさんゴロゴロしたほうが、ガスが出やすい」と先生からいわれました。1回目の帝王切開では術後しばらくは痛みのためにできなかった寝返り。2回目の帝王切開では、術後1日目で普通にできました。
体を動かすと内臓が引っ張られるような痛みはありましたが、全然耐えられる痛みでした。後陣痛もほとんどありません。
1回目は術後1日目が痛み度Maxだったので、あまりの違いに、
今回の先生はものすごく腕がいいのでは??
と思いましたが、後述するように痛み止めの点滴が抜けたあとに、痛みがやってきたので、薬の使い方と、過ごし方(2回目は術後1日目までベッド上安静)の違いだったのだと思います。
帝王切開術後2日目
1回目の帝王切開
痛み度:★★★★★(4.5くらい)
- スケジュール:
- 食事:普通食
- 排泄:導尿カテーテル→トイレ
- 痛み止め:点滴
- 処置:なし
術後、ガス(おなら)が出ていなかったことから、前日、大建中湯という漢方薬が処方され、服用しました。おなかのはたらきをよくする薬なので、それを飲んだおかげか、この日の朝にさっそく術後はじめてのガスが出ました。ガスを出す瞬間が、けっこう痛かったです。
帝王切開の傷口そのものの痛みはあまりなかったのですが、おなかの中で、ずっとガスが動き回っている感じがあって、それがかなり痛かったです。痛み止めの点滴を追加しても効果はないように思われました。
後陣痛と思われる痛みも続いていて、面会に来てくれた家族と会話することもつらくて、内心「早く帰ってほしい」と思っていました。
また、この日に導尿カテーテルを抜いて、それから自分でトイレに行くことになったのですが、排尿時におなかの内部が引きつれるような痛みがありました。排尿時の痛みは数日間続きました。
圧迫されている背中やおしりに鈍い痛みがあったので寝返りを打とうとするのですが、横を向くとおなかの内部が引きつれるような激痛があって、無理でした。
ですが、夜になって順調にガスが出るようになると、痛みがだいぶ和らいできました。ガスがたまっていたのが原因だったのでしょうか?
2回目の帝王切開
痛み度:★★★☆☆
- スケジュール:歩行開始、安静
- 食事:昼食からおかゆ開始
- 排泄:導尿カテーテル→トイレ
- 痛み止め:点滴
- 処置:ガスを出すために「ガスコン」処方
この日は、歩行が開始になったものの、トイレに行く以外は基本的に安静。赤ちゃんのお世話もありません。
寝ていると大丈夫ですが、立ち上がり、歩行すると痛みます。ですが、1回目の経験から「身体をこんなふうに動かすと、こういう痛みが来る」ということがわかっているので、気を使いながら行動でき、1回目ほど強い痛みには感じませんでした。
導尿カテーテルが抜けたので、トイレで排泄することになったのですが、やはり1回目のときと同様、排尿痛がつらかったです。
1回目と違ったのは、(痛みではありませんが)めまいでした。手術当日と術後1日目の丸二日間、ずっとベットに寝たきりでした。頭を起こしただけでグラグラ。慣れるまでに時間がかかりました。
帝王切開術後3日目
1回目の帝王切開
痛み度:★★★☆☆
- スケジュール:赤ちゃんの診察
- 食事:普通食
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:点滴終了→内服薬
- 処置:(お通じがないため)アローゼン処方
帝王切開当日含めて4日目を迎えて、痛みが少し楽になった気がしました。
背中から入れていた痛み止めの点滴が中止になり、代わりに痛み止めの飲み薬としてブルフェン200mgを9回分処方してもらいました。
歩行時の痛みも、まだありましたが、初期に比べればずっと楽になり、ゆっくりと歩けば、点滴の支えがなくても大丈夫になりました。これまで病室内でのみ歩行練習していましたが、この日にはじめて病室の外へ出てみました。
思い切って動いてしまえば、そのあとはめきめき回復していったように思います。
おなかにも力を入れられるようになり、これまでベッドから起き上がるときには必ずベッドのリクライニング機能を使っていたのですが、この日はじめて腹筋を使い、自分の力で起き上がることができるようになりました。
2回目の帝王切開
痛み度:★★★☆☆
- スケジュール:
- 食事:おかゆ
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:点滴→坐薬
- 処置:ガスを出すために下剤の坐薬を入れ、「ガスコン」処方
背中から入れていた痛み止めの点滴が中止になり、代わりに坐薬のみで痛みをコントロールすることになりました。坐薬は、使いたいときに看護師さんに声をかけ、持ってきてもらい、自分で入れる形でした。
点滴を中止したとたん、強めの後陣痛に襲われ、坐薬を入れると1時間くらいで効いてくるけど、10時間くらいで効果が切れる…再び坐薬というサイクルの繰り返しでした。安静時の痛みとしては、術後この日から明らかに後陣痛がつらくなり、翌日(術後4日目)に授乳が始まるとピークを迎えました。
これまでは点滴によって痛みがしっかり抑えられていたのだなと実感することになりました。排尿痛・排便痛は相変わらずでした。
帝王切開術後4日目
1回目の帝王切開
痛み度:★★☆☆☆
- スケジュール:シャワーの許可、母子同室開始、沐浴見学
- 食事:普通食
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:内服薬
- 処置:なし
痛みはだいぶ楽になりました。
術後、ずっと排便がなかったので、前日夜にアローゼンを服用したところ、この日に術後初の排便がありました。排尿時の痛みは相変わらず続いていましたが、排便時の痛みはありませんでした。むしろおなかがすっきりと快適になりました。
この日に母子同室が開始になりました。痛みが皆無になったわけではありませんが、歩行にもだいぶ支障がなくなり、ゆっくりとした動きで、赤ちゃんのお世話ができるようになりました。
2回目の帝王切開
痛み度:★★★★☆
- スケジュール:授乳指導
- 食事:昼食から普通食
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:坐薬
- 処置:なし
授乳指導を受け、その後は日中のみ母子同室となりました。
3時間ごとに授乳するスタイルだったのですが、授乳のたびに後陣痛がひどくなるのを感じました。この日が痛みのピークでしたが、それでも1回目の帝王切開ほどひどい痛みではありませんでした。
この日の昼食からついに普通食となり、病人状態から、やっと回復してきたように思いました。
帝王切開術後7日目
1回目の帝王切開
痛み度:★☆☆☆☆
- スケジュール:退院
- 食事:普通食
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:内服薬
- 処置:なし
この日に退院となりました。
退院時には、ほぼ痛みを感じなくなっていました。
10センチ以上おなかを切ったというのに、人間の回復力に感激しました。
医療ミスでは? と疑いたくなるくらい激痛だった寝返りも、退院する頃には普通にできるようになっていました。排尿時の痛みもいつのまにかなくなっていました。
2回目の帝王切開
痛み度:★☆☆☆☆
- スケジュール:退院
- 食事:普通食
- 排泄:トイレ
- 痛み止め:坐薬
- 処置:なし
この日に退院となりました。退院後の痛み対策として、坐薬10個が処方されました。
退院後には体重12キロ超えの上の子をさっそく抱っこすることになりましたが、普通に抱っこできるくらいに体は回復していました。
ただ、1回目のときは退院時には落ち着いていた排尿痛や、ガスなどによりおなかの内部が動くときの痛みに、退院後しばらく悩まされることになります。その都度、坐薬で対処していましたが、退院後1ヶ月経つ頃にはそれらの痛みも気にならなくなっていました。
帝王切開による傷跡の経過(1回目)
傷あとの経過
私は、逆子による予定帝王切開のため、お臍の下あたりを15センチくらい横に切開しました。
退院直後の傷あとは、やや盛り上がりがあり、赤色で、やや太い線状になっていましたが、赤味はすぐにうすくなり、術後4ヶ月をすぎた頃から、徐々に盛り上がりが消えていき、線自体が細くなっていきました。
かゆみが出ることがごくまれにありましたが、うずくような痛みは一度もありませんでした。
帝王切開術後半年の段階で、傷口の盛り上がりはほぼなく、色はうすいピンク色、幅1~2ミリの傷あと。気にせず温泉だって入れそうな状態でした。
子供の頃に腕の手術をしたときは、傷あとがすぐに盛り上がり、赤色になり、幅1センチくらいのみみず腫れになってしまいました。その経験があったので、「自分はケロイド体質なんだ。だから帝王切開の傷跡もみみず腫れになるんだろう」とあきらめていましたが、下に書いているテープのおかげか(それとも執刀医の腕か?)、とてもきれいな状態です。
第2子の妊婦検診(1回目の帝王切開から2年経過)では、医師を含むスタッフさんが「傷あとどこ?」「すごいきれいね!!」と感心するほど、目立たない傷あとになっていました。
傷あとのケア
入院中は、白いテープのようなものをずっと貼られていました。
退院診察を受けた際に、その白いテープをはがし、ニチバンから販売されている「アトファイン」に貼り替えました。
「アトファイン」は帝王切開の傷あとがケロイドや肥厚性瘢痕にならないように予防するためのテープで、貼ることで、進展刺激・摩擦刺激・紫外線から傷あとを守ることができます。
退院後は、5~7回に1回を目安に貼り替えるよう指導を受けました。・・・が、貼り替えを忘れ1日、2日と徐々に貼っている時間が延びていき、しまいには3週間くらい同じテープを貼り続けたこともありました。正しい使い方ではありませんが、個人的にははがれなければOKと思っていました。
肌に優しい粘着剤を使用しているようで、はがすときに傷あとが痛むことはありませんでした。帝王切開の傷あとは15センチ弱あったので、サイズはLサイズ。アトファインは、ドラッグストアでは入手できず、医療機関もしくはamazonなどで購入することになります。
最低でも3ヶ月、帝王切開の傷口のある腹部など皮膚の進展が大きい部位については半年~1年間貼り続けることがすすめられています。
私は1年近く貼り続けました。
そのほか帝王切開後に気になったこと(1回目)
私が気になっていたのは、「おしりのしびれ」でした。
生活に支障はないものの、産院に入院中から、おしり全体がしびれた感じがありました(シャワーを当てても、当たっている感覚が鈍い。手で触っているのに膜一枚隔てているような変じ)。
初めは、帝王切開を終えてしばらく寝ていることが多かったので、血流が悪くなったためだろうか? と考え、そのうち治るだろうと思っていました。
ですが、術後1ヶ月経っても消えないので、1ヶ月健診のときに主治医に相談してみました。その頃には、しびれは尾てい骨の先端を中心とした半径5センチくらいの範囲になっていました。メチコバール500を1日2回処方され、1ヶ月間服用しましたが、しびれに変化はありませんでした。主治医からは、治るまでに少し時間がかかるかもしれないといわれていました。
術後4ヶ月くらいまでは気にかけていて、しびれの範囲はまったく変わりなかったのですが、術後半年経って改めて確認すると、いつのまにかしびれは完全に消えていました。
帝王切開の不安を軽くするために
私は、自分が帝王切開になるとわかったときに、『ママのための帝王切開の本』を買いました。
この本の中で、自分が考えうる疑問や不安の大部分が回答されていました。
本を読んだことで、漠然としていた「帝王切開」というものがわかってきて、不安が軽くなりました。入院中も、お守りとしてこの本を持っていきました。あらかじめ帝王切開になることがわかっている方は、ぜひ読んでみることをおすすめしたいです。
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