腸は人体最大の免疫器官
腸脳相関
腸は第二の脳
などなど、腸の重要性を表す言葉は多いです。
近年の腸活ブームから、私自身はもちろん、子供の腸内環境も改善すべく食事を意識してはいましたが、偏食気味の子供はこちらの望むようには食べてくれないものです。
あることをきっかけに、子供の腸内フローラ(腸内細菌叢)を調べてみたいと思い、マイキンソーキッズという自宅にいながら検査可能な検査キットを使ってみました。
この記事ではマイキンソーキッズを実際に使ってみた経験をふまえて、レビューしています。
子供の腸内フローラを調べようと思ったきっかけ
我が家には4歳の娘と、1歳の息子の、2人の子供がいます。
4歳の娘は偏食気味で野菜・きのこが嫌い。しかも便秘気味です。
1歳の息子は0歳の頃から尿路感染症に5回かかり、いずれも1週間~1ヶ月の入院をしましたが、その間は抗菌薬の点滴を使った治療をしていました。最終的には手術をすることになりますが、手術までの感染を防ぐために1ヶ月以上も抗菌薬を飲み続けた期間があります。
息子にとって抗菌薬は確実に必要な治療だったのですが、腸内細菌へ悪影響があったことも確実だと思います。実際に数ヶ月の間、下痢が続いていました。
おまけに2人とも帝王切開です。帝王切開で生まれた赤ちゃんは、自然分娩で生まれた赤ちゃんよりも、母親由来の腸内細菌を受け継ぎにくいといわれています。
どれも仕方のないことでしたが、これだけ条件がそろっていると、我が子の腸内フローラはどんな状態なのか気になってきます。そんなときに、1冊の本に出会いました。
またまた、売りたいがために大げさにつけたタイトルなんでしょ…
と思いつつ読んでみると、内容的には腸内フローラは3歳になる頃までに決まってしまう。しかもお通じの問題だけでなく、太りやすさ、免疫力、学力、性格まで腸内環境が影響する。そのため、子供が小さいうちから、腸内細菌を豊かにする生活習慣を心掛けるように、といったものでした。
半信半疑のまま、以前息子が入院したときに購入したものの、途中までしか読んでいなかったこちらの本を読んでみました。
こちらは医療関係者向けの本で、かなり専門的です。そのなかで
出生後3年程度で個人の腸内細菌叢が安定化する
という見出しとともに、3歳以上になると腸内細菌叢がほぼ変化していないグラフが示されていました。
さらに、さまざまな身体疾患、精神疾患、運動能力、睡眠、疲労と腸内フローラとの関わりについても、書かれていました。
焦りました…。
腸内フローラの重要性はわかりました。
間に合ううちに、できるかぎりのことはしてあげたい、まずは現状を把握しよう! と思ったのが、今回子供の腸内フローラを調べようと思ったきっかけです。
マイキンソーキッズとは?
マイキンソーキッズとは、6歳未満の子供専用の腸内フローラ検査キットです。
赤ちゃんはお母さんのおなかの中では無菌状態、うまれてはじめて菌と出会います。ミルクや離乳食などの食事や生活のなかでいろいろな菌に触れ、腸と腸内フローラはともに成長します。そして、3歳くらいまでに定着した腸内細菌とともに、その後の人生を歩んでいくことになります。
マイキンソーキッズ商品説明より
販売元は株式会社サイキンソー。理化学研究所や大阪微生物研究所と協力し、こうしたサービスを提供しています。
マイキンソーには大きく分けて次の4種類があります。
- 医療機関向けマイキンソー
- 自宅向けマイキンソー
- マイキンソーHana(花粉症セルフケア用)
- マイキンソーキッズ
①~③は16歳以上という年齢制限があり、子供に使えるのはマイキンソーキッズのみ。それも6歳未満という年齢制限があるので、子供の腸内環境が気になっている方は、6歳になる前に検査しておくことをおすすめします。
マイキンソーキッズはamazonで購入できます。
マイキンソーキッズ単体か、大人用とのセット品で販売されており、時期によってはセット品のほうがお得になっています。
我が家ではセット品を購入しました。
母である自分の腸内フローラを調べるためです。単純に自分の腸内環境を知りたいという想いもあったし、家族の腸内フローラが似てくるのか気になったからでもあります。
マイキンソーキッズは黄色いガイドブックが同封されています。
マイキンソーキッズの同封物
マイキンソーキッズには次のようなものが同封されています。
- 採便キット
- チャック付きポリ袋
- ガイドブック
- 採便用シート
- 返信用封筒
- 研究に関する説明書
検査前に自分で用意したほうがいいもの
④の「採便シート」というのは便器のなかに置いて、そのうえに排便するというものなのですが…、これだと便器内にたまった水に便がつかってしまいそうだし、正しい結果が出るのか不安でした。
うちの子供の場合は、まだ大のほうは上手にトイレですることができず、オムツですることが多いのでオムツから簡単に採便できましたが、オムツを卒業しているお子さんや大人の方は、浮かせた状態で便をキャッチでき、使用後はトイレに流せる採便用シートを別途購入したほうが、使いやすいと思います。
マイキンソーキッズで腸内フローラを調べるまでの流れ
マイキンソーキッズのガイドブック的には、次のような流れでサービスを利用します。
- ユーザー登録
- 検査キットIDを登録
- 研究に関する説明書を確認
- 質問票に回答
- 採便
- キット返送
- 結果閲覧(約6週間後)
我が家は、まず⑤の採便をはじめに行ないました。
その後、①②③④をWeb上で同時に行ない、⑥キットを返送し、あとは結果を待つという流れです。
マイキンソーキッズの検査キットには個別の「キットID」というものがあり、これを登録しないと便を送付しても検査してもらうことができません。
お子さまごとの専用アカウントになるため、親子やご兄弟で同時に検査する場合は、人数分のアカウントが必要になります。
マイキンソーキッズ商品説明より
子供が複数いる場合には人数分のアカウントが必要ですが、メールアドレスは同じものを使いまわすことができます。
また、あらかじめたくさんの質問(質問票)に答える必要があるのですが、便の性状や採取日を答える項目があるので、採便後のほうが答えやすいです。
ちなみに2023年3月時点の質問票は次のような内容です。
質問の内容 | 所要時間 |
---|---|
妊娠中・出産時の状況 | 1分 |
生活環境 | 1分 |
食習慣・嗜好など | 1分30秒 |
体質・病歴 | 2分 |
運動習慣 | 30秒 |
授乳・離乳食 | 1分 |
最近の食事 | 2分 |
最近の睡眠 | 1分 |
最近の健康状態 | 2分 |
採便時の状況 | 1分 |
出生時の身長・体重、分娩方法なども聞かれます。帝王切開だと腸内フローラが豊かになりにくい…といった話はよく聞くので、このあたりのデータを集めているのかなと感じました。
質問の項目は多いですが、内容はシンプルです。所要時間の目安の合計は13分ですが、それよりは早く回答が終わると思います。
ご参考までに、子供の検査をしたときの実際のスケジュールを載せておきます。
- 1月18日:採便
- 1月19日:発送
- 1月25日:受領のお知らせ
- 2月21日:解析完了のお知らせ
発送してから受け取りの連絡が来るまで、思ったより時間がかかった印象でしたが、結果が出るのは思ったよりもスムーズでした。解析完了予定は当初3月4日でしたが、4週間後の2月21日には結果がわかりました。
マイキンソーキッズでわかること
マイキンソーキッズの判定結果は日々改良されているようです。
この記事を書いている2023年3月現在わかることは、次の3つの内容です。
腸内フローラタイプ
腸内4つの月齢層ごとに、3つに分類されるフローラタイプ(B型/R型/P型)のうち、どのタイプに所属するのかがわかります。
B型の特徴
ルミノコッカス属が少なくバクテロイデス属(プロピオン酸を作る菌)が多いタイプです。おはな組の半数強が当てはまります。おはな組B型には牛乳・チーズを毎日摂取する人、便秘になりにくい人が多い傾向があります。
R型の特徴
ルミノコッカス属(レジスタントスターチをえさに酢酸を作る菌)が多いタイプで、おはな組の半数弱が当てはまります。おはな組R型は、バクテロイデス属も多く、おはな組のなかでも多様性が高い傾向です。
P型の特徴
バクテロイデス属が少なくプレボテラ属(大麦などの水溶性食物繊維からコハク酸をつくる菌)が多いタイプで、おはな組の約4%と少数派です。おはな組P型は多様性も高い傾向です。日本人でもプレボテラ型は少数派です(1割強)。
マイキンソーキッズ判定結果より引用
我が家の子供はもっとも多数派の「B型」でした。
多様性・腸内細菌の成長推移
腸内細菌は食事や生活習慣を見直すことで変化するといわれています。
マイキンソーキッズでは「多様性」「ビフィズス菌」「フィーカリバクテリウム」「ストレプトコッカス」の4つの指標について、変化をグラフで確認できます。
グラフには同年齢の子供の90%が入る範囲という「基準範囲」が占められていて、自分の子供がどのあたりに位置するのか把握することができます。
腸内フローラの多様性、バランス
子供の腸内フローラについて、菌の組成(門レベル)、保有菌の割合(属レベル)がわかります。
さらに詳しい菌組成として門・綱・目・科・属の5つのレベルで、検査により見つかった腸内細菌のリストを見ることができます。
私はまだまだ腸内細菌について勉強途中ですが、詳しい方にとってはこれだけの菌データがわかるというのはなかなか興味深いことではないでしょうか。
マイキンソーキッズの結果をもとに改善してみた生活習慣
いまのところ家族4人中、母親である私、4歳娘、1歳息子の検査を行ない、私と4歳娘の結果が出ています。
4歳娘の結果は、全体的に同年齢の平均よりは少し悪い腸内環境かな、という印象を受けました。
ひとつ衝撃的だったのは、免疫にかかわるという「フィーカリバクテリウム」がまったく見られないという結果だったことです。
ちなみに、私の腸内にはいました。少ないことはあるにしても、
まったくいないってありえるの?!
という気持ちで、もしかしたら採便時や解析中に何か問題があったからでは…と思ってしまいます。
半年ごとに検査をしていきたいと考えているので、それは今後の結果を待たないとわかりませんが、大人では緑黄色野菜や水溶性食物繊維をとることで増えるといわれているそう。どちらもあまり食べたがらない娘なので、対策していかねばと思いました。
具体的には、このようなことを心掛けるようになりました。
- ヨーグルトにオリゴ糖や青汁を入れる
- もち麦や大麦を入れてごはんを炊く
- 水溶性食物繊維を含む「とろろ昆布」を味噌汁にちょい足し
- 天気のいい日はなるべく外遊び
ちなみに、ヤクルトやミルミルを飲ませてみましたが、嫌いだそうです。サプリメントについては検討中です。
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