我が家では、防災対策はしていましたが、「非常用持ち出し袋」を作ってはいませんでした。
理由は、自宅が倒壊するリスクが少ないので、避難所へは行かず、自宅避難をするつもりだったからです。ところが、その考えが変わり、「非常用持ち出し袋」を作らないとだめだなと痛感したできごとがありました。
そのできごととは、2019年9月に、千葉県を中心に大きな被害をもたらした「台風15号」「台風19号」です。台風がやってきて、実際に停電したとき、「このまま停電が続いたら赤ちゃんにミルクや離乳食をあげることができない」と焦ることになりました。
幸いにも停電はすぐに復旧したのですが、このときの台風をきっかけに、
- これまで防災対策をしているつもりでいたけれど不十分で、実際に災害に見舞われると生活できなくなる
- 災害は地震だけではない
- 自宅避難できないこともあるから、非常用持ち出し袋の用意は必要
といったことを学びました。
この記事では、赤ちゃん・子供のいる家庭の防災対策を考え、実際に非常用持ち出し袋を作ってみた体験について書いてみました。
【体験談】台風により停電した「ある朝」のこと
私たちの住む地域では、台風がまだ上陸しておらず、本格的に風雨が強まっていない状況で、朝、突然に、停電しました。
窓の外を見ると、外出できそうなくらい穏やかな状況で、なぜいま?? と思いました。心の準備も、家の準備も、何もできていない状況で、すごく困ったなと思いました。
このとき、我が家の状況は次のようなものでした。
停電時の我が家の状況
- 生後7ヶ月の赤ちゃんがいる。ミルクと離乳食を併用している。
- ミルクは粉ミルクを使用。液体ミルクの備蓄なし。
- 粉ミルク用のお湯はT-falで沸かしている。
- 離乳食は、まとめて冷凍したおかゆや、パルシステムで購入した冷凍野菜など、冷凍ばかり活用している。
- 哺乳瓶は3本使用した段階でまとめて洗っていたので、このとき、流しには使用済みの2本の哺乳瓶が置いたまま。
- 情報源であるスマホの充電をしていない
停電したら困ること
上のような状況だったので、電気が止まることで、次のような困った事態になりました。
- T-falが使えなくなり、粉ミルク用のお湯を沸かすことが困難になる。
- 電子レンジが使えなくなり、離乳食を作ることができない。
- 電子レンジが使えなくなると、哺乳瓶の消毒ができなくなる。停電に引き続き、断水すると、哺乳瓶を洗うことさえできなくなる。
どうして液体ミルクを買わなかったの? どうしてパウチの離乳食を買わなかったの? どうして使うたびに哺乳瓶を洗わなかったの? と過去の自分を責めました・・・。
とりあえず、まだ生きているスマホで、停電したらまず何をすべきか調べたところ、停電後に断水することもあるとわかり、浴槽に水をはることにしました(実際、近隣の地域では断水していたようです)。水が出るうちに急いで哺乳瓶を洗いました。
また、懐中電灯、ラジオに電池をセットしました。この日は夫も休みだったので、一方のスマホの電源を切って温存し、一方のスマホのみで情報収集をしました。
幸いにも、このときの停電は一時間ほどで復旧したので、本格的に困る事態にはなりませんでした。また、地震ではないのでガスは生きており、いざとなったらミルクも離乳食もガスを使えばなんとかなるという思いがありましたが、これがガスも止まってしまう状況だったらと思うと、もっと想像力をはたらかせた防災対策の必要性を痛感しました。
この日は、一日中、防災無線が流れていました。市の一部では依然として停電・断水が続いているため、〇〇に設けられた避難所を利用してくださいというお知らせでした。
自宅が無事であっても、避難が必要となるケースがあることを知りました。
台風前に機能しないネットスーパー & amazonプライム
また、台風19号では、台風15号の経験から、皆がガソリン、飲料・食料などの備えをしているとみられ、台風が上陸するといわれる3日前には、近所のガソリンスタンドは長蛇の列となり、スーパー・ドラッグストアからはケース飲料が消え、ホッカイロは値上がりしていました。
いざとなったらネットスーパーやamazonプライムがあると思っていた私は、台風が上陸するといわれる3日前に改めて備蓄の飲料・食料を購入しようとネットスーパーを覗くと、すでに配達取りやめ・受付停止となっており、amazonプライムでは配達まで1~2週間かかるという、すでにプライムではない状況となっていました。
自宅避難を考えていても、必要となる非常用持ち出し袋
はじめにも書きましたが、我が家では、震災が起きたとしても自宅が倒壊するリスクが少ないため、自宅避難をするつもりでいました。そのため、水や食料、おむつなどの備蓄はしていましたが、「非常用持ち出し袋」の用意はしていませんでした。
ですが、今回の台風を経験して、災害というのは地震だけではないことを痛感し、非常用持ち出し袋の必要性を感じました。
たとえば、我が家では次の場合などに、急いで非常用持ち出し袋を持って、子供を抱え、自宅を出る必要があります。
- 地震や台風により停電・断水が続き、自宅での生活ができなくなったとき
- 火災により急な避難が必要となったとき
そこで、今回は、次のことを想定しながら非常用持ち出し袋を作りました。
- 大人2人+1歳前後の赤ちゃん(子供)1人が2~3日生活できる。
- 夫が不在のときに災害に見舞われたら、私が非常用持ち出し袋+マザーズバッグ+赤ちゃんを抱っこひもで抱えて逃げる。
赤ちゃん・子供がいる家庭の防災対策を考える
次に、台風により停電になった際に実際に困ったことを中心に、赤ちゃん・子供がいる家庭の防災対策を考えてみました。
ミルク・哺乳瓶はどうする?
災害時、赤ちゃん用品はなかなか手に入らなくなると聞くので、できれば一週間分くらいの備蓄をしたいと思いました。我が子は完全ミルクで育ててきて、現在は離乳食3回食+ミルク3回という状況です。
ミルクとしては、液体ミルクをたくさん備蓄するのが一番手間がなくてよさそうに思えるのですが、すでに離乳期に入っていることと、1缶200円以上するお値段と、期限が半年~1年程度しかもたないことから、一週間分の備蓄は難しいなと思いました。
そこで、液体ミルクはいざというときのために2~3缶のみストックし、基本的には災害時も粉ミルクを使う方針でいます。
もし、子供が現在「新生児~低月齢」で「完全ミルク」で育てている状況だったら、液体ミルクをもっと備蓄していたと思います。
お湯の沸かし方
私たち夫婦は、赤ちゃんが生まれる前は登山を趣味としていたため、(台風のときは存在を忘れていましたが)アウトドアでお湯を沸かすことのできるアイテムを持っています。
別途、防災用としてイワタニのカセットコンロを買うことも考えましたが、防災用以外の用途がいまのところなさそうだったので、いざというときはもともと持っていたアウトドア用の「イワタニCB-JCBジュニアコンパクトバーナー」に、スノーピークの「ソロクッカー チタントレック900 SCS-008T」をのせてお湯を沸かし、ミルクを作るつもりでいます。
哺乳瓶の代用
また、災害時は哺乳瓶を洗うことができないということも問題となります。そのため、市販の赤ちゃんがいる家庭向け防災セットには、使い捨て哺乳瓶が含まれていることもあります。
ですが、使い捨て哺乳瓶の口コミでは、「飲み口が合わず、赤ちゃんが飲んでくれない」というものを多くみました。おまけにお値段も1本300円くらいとお高めです。うちの子供もちょっとした変化に敏感なので、おそらく飲んでくれないだろうと思いました。
そこで、哺乳瓶の代用として、紙コップ+ストローを用意することにしました。これなら数を用意してもお値段がかなり抑えられます。また、娘はマグでストロー飲みはマスターしているので、この方法なら飲みやすいのではないかと思いました。
オムツ・おしりふきはどうする?
これは、切らさないように注意しながら、ひたすらローリングストックすることにしました。
オムツは常に3~4パック、おしりふきは常に10パック以上、ストックするようにしています。
赤ちゃん・子供がいる家庭の非常用持ち出し袋の中身を考える
非常用持ち出し袋用リュックはこれを選びました
非常用持ち出しグッズを入れるリュックには、モンベルの「エマージェンシーパック35」を選びました。
個人装備の収納用パック。暗闇で光に反射して光るリフレックマーク、IDタグ付き。
モンベルHP商品説明より
選んだ理由としては、登山を趣味としている私たち夫婦が、モンベルに絶対的な信頼を寄せているということもありますが・・・
- 475gという軽さ
- 35Lという容量(小柄な女性には大きいかもしれません)
- 暗闇を避難中に存在を示す、反射マークがついている
上の3点がとくにポイントとなりました。
欲をいえば、腰ベルトも付いていたらよかったなと思いましたが、子供を抱っこひも(エルゴベビー)で抱っこしつつ、リュックを背負うことを考えると、腰ベルトが干渉せずにかえってよかったと思いました。
実際に荷物を入れて背負った感じでは、腰ベルトがなくても重さ・安定感ともに問題ありませんでした。
非常用持ち出し袋の中身
※中身は、子供の月齢、季節に合わせて、今後も定期的に更新していく予定です。
- 防災ラジオ
- 軍手
- 乾電池
- エアーゴロンプラス(寝るときに下に敷くマット)
- レスキュー寝袋
- レスキューシート
- 携帯・スマホ用充電ケーブル
- 紙皿
- 紙コップ
- ストロー
- スプーン
- ラップ
- からだ拭き
- おしりふき
- ホッカイロ
- 歯みがきシート
- ドライシャンプー
- 液体ハミガキ
- 救急セット(写真なし)
- 生理用品(写真なし)
防災士の資格を持っている友人曰く、ホッカイロは防寒の用途以外にも、パウチタイプの離乳食を温めるなど、いろいろと活用できるそうです。
生理用品は普段は安いものを使っていますが、防災用には少しお高めでも薄手で、吸収量が多いタイプを購入しました。
- (大人用)尾西食品アルファ米 1日3食×3日分
- (子供用)離乳食パウチ 1日3食×3日分(月齢に合わせたものを適宜入れているので写真にはありません)
- 粉ミルクキューブタイプ
- フォローアップミルク
粉ミルク・フォローアップミルクは、アカチャンホンポで買い物しているときにいただいたサンプル品を入れています。
- 青汁
- ミレービスケット
- 産直大豆ドライパック
- 非常用給水パック
災害時はビタミン・ミネラルが不足すると聞くので、青汁を入れました。箱のままだとかさばるので、実際にはこのようにジップロックにうつして入れました。
当初は、野菜ジュースや野菜スープを入れることを考えましたが、かさばるし、重いので、青汁にして正解だったと思います。
たんぱく質としては、そのままでも食べられるパルシステムの産直大豆ドライパックを入れました。
食品以外を詰めてみた感じ、このようになりました。
さらに食品を入れて、ジャストに収まりました。
あえて非常用持ち出し袋に入れなかったもの
携帯用トイレ
自宅には「非常用トイレ」を100セットほど備蓄していますが、「携帯用トイレ」は用意していませんでした。避難所では、たとえポンチョで目隠ししたとしても人前でトイレを使うイメージが湧きませんでした・・・。
車で避難する場合のことも考えて、いくつか車には置いておこうと思います。
赤ちゃん用オムツ
一週間分ほど非常用持ち出し袋に入れるとオムツだけでいっぱいになってしまうので、いざとなったら非常用持ち出し袋とは別に、購入時の1パッケージごと、片手に抱えて避難しようと思います。数枚は、常に持ち歩くマザーズバッグに入れています。
水
入れるべきか迷っています。
いまのところ、2Lの水のペットボトルを玄関に備蓄しているので、いざとなったら1本をマザーズバッグに入れて避難するつもりです。(この記事を書いている)いまは冬なので、2Lのボトルでもいけると思うのですが、暖かくなると衛生的に心配なので、500mLのボトルを数本非常用持ち出し袋に入れる予定です。
写真データ
夫婦2人の生活のときに撮りためた写真データは、定期的にバックアップして夫の実家に置いていますし、赤ちゃんが生まれてからの写真データは写真共有アプリ「みてね」にアップしているので、大丈夫かなと思い、持ち出し袋には入れませんでした。
印刷した写真は、家族を探すときに役に立つと聞くので、手帳に挟んで持ち歩くようにしようと思います。
マザーズバッグに常に入れているもの
私のイメージでは、夫が不在で、私一人のときに災害に見舞われ、子供と一緒に避難するという最悪のパターンで、
- 前に子供を抱っこ
- 後ろに非常用持ち出し袋
- 右手にマザーズバッグ
- 左手にオムツ1パック
という大荷物を抱えながら、なんとか自宅を脱出する想定です。
重さ的にはなんとかいけました。マザーズバッグには、次のものを入れています。
- 母子手帳
- オムツ数枚
- ビニール袋
- 着替え
- 赤ちゃん用麦茶
- 財布(現金、カード、私の身分証明書など)
- 私の手帳(連絡先などの手書きメモあり。印刷した写真を挟む予定)
非常用持ち出し袋を作ってみた感想
非常用持ち出し袋が「ない」から「ある」へ変わったことで、安心感が生まれました。
今回、赤ちゃん・子供がいることを想定した非常用持ち出し袋を作ってみた感想は、しっかり備えたいけれど、持ち運べる重さには限界があるので、中身の取捨選択が難しいということでした。
とりあえず、非常用持ち出し袋を作りましたが、まだまだ検討の必要はあると思います。具体的には次のようなことです。
- 赤ちゃんの着替えは足りる?
- 大人の着替え皆無だけど、どうする?
- スキンケア用品は入れる?
今後も定期的に見直し、記事のほうも更新していく予定です。
**今回参考にした本です**
『被災ママに学ぶ小さな防災のアイディア40 東日本大震災を被災したママ・イラストレーターが3・11から続けている「1日1防災」』
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